”FXとは”を超シンプルに解説!金融ド素人の筆者が業界16年目の大ベテランに納得できるまで聞きました。
written by 田野百萌佳
インタビュイー:草間 健吉(くさま けんきち)さん
サンワード証券株式会社の執行役員営業副本部長。 サンワード貿易(当時)に新卒で入社し、今年で21年目になる、まさに金融のプロ。 基礎の基礎のような質問にも嫌な顔一つせず答えてくれる、優しさで溢れたお方。
インタビュアー:齋藤 彩
インビジョン株式会社のライター。 金融や数字、横文字が出てくるような話は苦手中の苦手…。 今回は草間さんに怒られる覚悟でたくさん質問させていただきました! (怒られるどころかとても優しく答えていただいて胸がいっぱいです(__))
「私FXのこと、なーんにも分からないし、説明文を読んでるだけで頭がおかしくなりそうなんです!こんな私が理解できるまでプロの方に説明してもらう記事なんてどうですか?」
そんな無茶な提案を、二つ返事で受け入れてくださったサンワード証券さん。
中でもさまざまなお客様の資産運用を担当してきた社歴16年の大ベテラン、草間(くさま)さんによる、特別講義を開いていただきました!!
レベル1:「FX」のきほんを知ろう
齋藤:ずばり、FXって何ですか??
草間さん:日本語にすると「外国為替証拠金取引(がいこくかわせしょうこきんとりひき)」って言うんだけどね、そもそも「外国為替」って何だと思いますか?
齋藤:外国のお金のこと…?
草間さん:惜しい。(笑)
外国為替っていうのは、外国のお金と自分の国のお金を「交換すること」を言います。
日本だったら「円」、アメリカだったら「ドル」、イギリスだったら「ポンド」のように通貨は国ごとに違いますよね。
例えばアメリカに旅行に行くときは日本円をドルに両替するでしょう?
この両替行為のことを「外国為替」と呼んでいるんです。
齋藤:なるほど…!外国のお金と交換することなんですね!
でもどうやってその両替で儲けるんですか?
草間さん:お金の価値は時期によって変動するというのは知ってる?
齋藤:円高とかドル安とか…?そういうことですか?
草間さん:そうそう、そんな感じで、”1ドルの価値はいつどんなときでも100円”という訳じゃないんです。
それを前提にすると、1ドル=100円のときに1万ドルを買うのにかかる円はいくらだと思いますか?
齋藤:うっ…こういう計算は苦手なのでゆっくり考えさせてください…
1万ドルは1ドルの1万倍で、つまり100円の1万倍だから、100万円?
草間さん:正解!ではあなたがこのタイミングで100万円を1万ドルに交換していたとしましょう。
もし少し時間が経って、1ドルの価値が110円に上がったとします。
あなたが持っている1万ドルは、このとき何円になってる?
齋藤:1ドルは110円。それを1万ドル分持ってるから、110円×1万で…110万円…?
草間さん:そう、110万円です。
こんな風に円をドルに替えて持っている間に、100万円が110万円の価値になっているってことがあるんです。
このときに1万ドルを日本円に戻せば、10万円多く手元に返ってくるという仕組みです。
齋藤:おお…!この10万円が儲け分ってことなんですね!
草間さん:そうそう。このように差額分で儲かったり損したり、というのを専門用語で「差金決済」と呼んでいます。
レベル2:「FX」についてもう少し詳しくなろう
齋藤:100万円くらいの大金を一括で払えないとFXはできないのでしょうか?
草間さん:いや、できるんです。
齋藤:でもお金は一体どこから出せば…?
草間さん:最初にFXのことを「外国為替証拠金取引」って言ったのを覚えてますか?
齋藤:たしかにそんなこと言ってたような…(汗)ではその「証拠金」っていうのは何なのでしょうか??
草間さん:平たく言うと、取引を始めるための「担保」であり「取引をする権利を得るためのお金」みたいなもの。
齋藤:人質みたいなものでしょうか…?
草間さん:まぁイメージは合ってます。(笑)
証拠金は取引したい額の約25分の1の額と決まっているんですが、言い換えると約25分の1を預けるだけで大きな額の取引ができてしまうということ。
仮に100万円を動かしたいときは、最低4万円の証拠金から始められるんです。
齋藤:それってちょっとこわいですね。
草間さん:たった4万円で100万円を動かすということだから、もちろんリスクは大きいですね。
齋藤:マイナスになったら結構な額の借金ができちゃうこともあるってことですか…?
草間さん:もちろん投資金よりもマイナスになったらそれは借金になるんだけど、借金が多額にならないように、余っているお金がゼロになったら自動的に決済してしまう仕組みがあるんです。
齋藤:おぉ…なんだかクレジットカードの上限みたいな制度ですね…!
草間さん:ちょっと似てるかもしれませんね。
また専門用語を使ってしまうんですが、この仕組みのことを「ロスカット」と呼んでいます。
レベル3:「FX」の基礎はこれで完璧!
齋藤:専門用語と言えば、FXについて調べると「レバレッジ」という言葉が出てきたのですが、これをものすごく簡単に説明していただくことは可能でしょうか・・・?
草間さん:さっきの証拠金の話で、約25分の1のお金で大金を動かせると言ったのを覚えてますか?
齋藤:はい!証拠金はばっちりです!
草間さん:少ない額(証拠金)で大きい額のお金が動かせる、ということを「てこの原理」と呼びます。
齋藤:「てこの原理」というと「てこを使うと弱い力で重い物を動かせる」みたいな意味ですよね?
草間さん:そうです。証拠金の仕組みと似ていませんか?
齋藤:お~確かに!
草間さん:「レバレッジ」は「てこの原理」の英語版みたいなものですね。
齋藤:日本語で説明していただけるとすっごい分かりやすいですね。
草間さん:例えばさっきの例みたいに、証拠金4万円で100万円の取引をすることを「レバレッジ25倍」というように言っているよ。
齋藤:証拠金を50万円にして100万円の取引をする場合はレバレッジ2倍ですね!
草間さん:そういうことです。
レベル4:FXの友達「CX」とは
齋藤:サンワード証券さんのHPを見るとFXだけじゃなくて「CX」という単語も出てくるのですが、CXとは何なのでしょうか?
草間さん:CXは日本語で「商品先物取引(しょうひんさきものとりひき)」と言います。
FX(=Foreign Exchange)に対して、CX(=Commodity Exchange)というわけ。
これも原理はFXと同じで、FXの場合は取引するものが「通貨」だったけど、CXの場合は「もの」になるんです。
齋藤:もの、というと…?
草間さん:金(きん)や原油、お米などが主流です。
ただしCXの場合は、たとえば金の証拠金が24万円くらいと、少し高いんです。
齋藤:へぇ~!じゃぁCXはお金持ちの人しかできないみたいなことでしょうか?
草間さん:できないことはないんですが、FXもCXも、実は口座を開くにあたっては審査があるんです。
年収いくら以上とか、預貯金がいくらあるかとか、理解度はどれくらいか、とか。
なのでCXをやっている人の属性としては経営者の方などお金を持っている人が多いですね。
齋藤:理解度、というとサンワード証券さんのように資産運用をお手伝いしている人たちは完璧ですよね?草間さんもFXやCXをされてるんですか?
草間さん:私たちはできないんですよ。(笑)
齋藤:え!!できないなんてことがあるんですか…?
草間さん:業界の自主規制とでも言うんですかね。
法に触れるわけじゃないんだけど、この職種の人はFX・CXはやっちゃいけないってことになってるんです。
齋藤:いっぱい稼げちゃうからなんですかね…。知りませんでした。
草間さん:業界人じゃないと知らない人も多いかもしれませんね。
あとがき(取材を終えて)
取材前は「こんなことも分からないのか」と怒られてしまうのではないかと緊張していましたが、終始優しく答えてくださったので安心してたくさん質問することができました。
お話を聞いてみると、サンワード証券さんに入社する新人さんも最初は私くらい苦手意識の強い人や文系出身の人が多いらしいんです。
草間さんのように丁寧に教えてくれる上司の他に研修担当という人がいるらしく、最初の知識は全く関係ないとのこと。
なんとなくのイメージで経験者や理系の人が多い職種だと思っていたので、びっくりでした!
草間さん、お忙しい中丁寧に教えていただき、本当にありがとうございました!