人ってこんなに変わるの?と実感。 新しい仕事文化、他社留学の担い手の想い
written by 田野百萌佳
現在、企業でも「留学」を取り入れるところが増えてきています。
今回お話を伺ったエッセンス株式会社の岸さんは、他社留学を企業に広める張本人。
まだまだメジャーではない他社留学を「絶対にやったほうがいい!」と言い切る岸さん。その背景には、ご自身の経験や価値観に理由がありました。
岸恵理子 さん
エッセンス株式会社・越境研修事業部プロデューサー 2社での営業経験を経て、2019年にエッセンスへ入社。 落ち着いた印象とは裏腹に、おそらくエッセンス内でもっとも越境研修事業への情熱が強い(ダシマス調べ)。 先日取材させていただいた島崎さんも「岸のインタビューが長引いていて意外でした!」とのこと。
社会人になって初めて心からいいと思えたサービス「他社留学」を、広める側になりたいと思った
ーーー はじめに、現在のお仕事内容を教えてください!
岸:組織に所属しながらも、他社へ留学をする「他社留学」をはじめ、「越境研修」を企業様へ案内しています。
「他社留学」の業務を具体的に説明すると、一定期間自社の社員に他社で学ぶ機会を与えたい企業様と、他社から社員を受け入れる企業様をマッチングします。
キャリアアドバイザーみたいな感じで、どこの会社に留学するのかといった選定や、研修内容のすり合わせや日程調整など細かいところまで間に入っています。
ーーー 越境研修って、認知は広まっているんですか?
岸:興味を持つ企業は増えています。エッセンスがサポートしている企業もHPからのお問い合わせ経由や、すでに他社留学を体験した企業からの紹介が多いです。
とはいえまだまだ珍しいサービスなので、自分たちで認知を広める必要もあります。
例えばセミナーやカンファレンスに登壇したり、エッセンスの他の事業でつながりのある企業様へアプローチをしたり。
ーーー エッセンスさんが他社留学事業を始めたのが2017年からだと伺っているのですが、自ら事例を増やしながら認知を広めているという段階なんですね。
ーーー 岸さんご自身はいつごろから越境研修事業に携わっていらっしゃるんですか?
岸:エッセンスに入社してからなのですが、実は今日(取材当日)でちょうど入社2年目なんです!
あれ私いつ入社したっけ?って考えてたら、ちょうど今日でした!
ーーー えー!すごいタイミング!おめでとうございます!
ーーー では2年前の今日、エッセンスに入社した理由を教えてください。
岸:シンプルに、他社留学という事業に惚れました!
社会人になりエッセンスが3社目なのですが、転職時にアドバイザ―の方にエッセンスを紹介してもらって、その時にこういう事業があると知って。
過去2社でもそれぞれ業種の違う営業職だったのですが、他社留学という事業を知った時、初めて心から良いサービスだと思えたんです。
私自身が転職を繰り返している中で「他社留学」に出会いたかった!と思えるものだったので、広める役割を担おうと決めました。
ーーー 素敵!運命の出会いだったんですね!
絶対やったほうがいい!と自信を持って言える。企業が一歩を踏み出す支援の醍醐味とは
ーーー 他社留学という取り組みを、心から良いと思ったのはなぜですか?
岸:シンプルに、転職しなくても他社での経験を積んで、そこでの経験を自社で還元できるって非常に面白い。
1社で長年勤めている方の継続力を尊敬する反面、その安住地を脱して他社で挑戦することって相当な勇気が必要だと思うんです。
その一歩を踏み出すきっかけになれるというところに、この事業の魅力を感じています。
ーーー 一歩踏み出す支援という言葉が出ましたが、実際に他社留学に乗り出すのはどんな企業なのですか?
岸:他企業へ留学に行く側の企業は大企業が多くて、その中でも主に3パターンに分かれます。
まず、自社の新規事業立ち上げを担う社員の育成をしたい企業、次にミドルシニアの方のセカンドキャリア形成をしたい企業、そして今後自社で幹部になる層のキャリア育成をしたい企業。一番多いのは3つめの今後自社で幹部になる層のキャリア育成をしたい企業で、30~40代くらいの社員の方が他社留学をするケースですね。
ーーー 自社の社員に留学へ行ってもらうことで、そこで得たスキルを自社に持ち帰って発揮するというのが醍醐味なんですよね。
ーーー 一方で実際に他社留学ヘ行く本人は乗り気じゃなかったりしないんですか?
岸:そういった方が全くいないわけではないですが、会社から期待されているということがわかるとモチベーションになるケースの方が多いです。私たちも間に入った際にはそれを必ず伝えています。
こちらからゴリ押しではなくて、自分で行きたいと思ってもらうことが大事!
それに、本人にとっても社内ではできなかったけど他社に留学することでやりたかった仕事ができるという楽しさもあるんです。
大企業だとやりたいことを実現するまでにいくつかの承認プロセスが必要なケースが多いですよね。でも例えばベンチャー企業に留学すると、すぐ隣で社長が働いてる職場環境を経験できたりします。そういう環境で、間近で経営手段を身に付けたりできるので、普段の業務では中々経験できないことにチャレンジできる、というところが醍醐味かなと思います。
ーーー 大企業からベンチャー企業へ留学というように、まったく違う文化の企業同士が交わるとなると、受け入れる側の企業にとっても収穫が大きいですよね?
岸:そうなんです。留学する方の多くは、大手企業の方や幹部候補の方だったりしますので、そんな方たちが一定期間自社で働いてくれると、事業推進はもちろん、受入れ側にとっても新たな気づきが生まれることもあります
その分、「求めていたことと違う」とならないように、その期間内にできることのすり合わせは慎重におこなう必要があります。
ーーー ここまでのお話で、他社留学に興味を持った方もいるかも知れません。
ーーー そんな方たちが実際に他社留学に挑戦する際に必要になってくるのはどんなことでしょうか?
岸:GIVE&TAKEの関係性を意識することは大事だと思います。ただ単に、TAKE(学びたいこと)ばかりを求めるのではなく、GIVE(提供できる自身の強み)の部分もしっかり考えて行動する必要があります。
また、留学を受け入れる企業の中にはピンポイントのスキルを求める企業も多いのですが、ほとんどは「緊急性はなくても重要度が高い事業」に一緒に取り組んでくれる方を求めています。なのでまずは、スキルというよりは理念共感やサービスへの興味が重要。そして指示されてからしか行動できない人ではなくて、まず自ら行動を起こせる人はどんな企業からも受け入れられるんじゃないでしょうか。
ーーー 気持ちだけではなく、言われる前に自ら試せるかが大切なんですね!
自分の人生は自分で決める!でも私は人を変えることにも携わっているんだ。節目を迎えて芽生えた価値観とは
ーーー ここからは岸さんについても伺いたいです。
ーーー ご自身が、働く上で大事にしている価値観はありますか?
岸:人生においてでも大丈夫ですか?
先日30歳を迎えて、「考えるより、まず行動」というのを心がけるようになりました。
もともとは慎重派だったんです。3姉妹の真ん中っ子だったので、小さい頃から人の顔色をうかがいがちで、つい最近まで周りの空気を読んで行動するタイプでした。
ただ、昔から「できないことを減らしたい」という心がけはあって。
そこから、何もしないよりは行動を起こして、失敗しても経験値が上がったとプラスに捉えられる人生のほうがいいなという思いが芽生えたんです。
そこでちょうど30歳という節目を迎えて、「他人の顔色を伺ってばかりで行動できずにいるのはもったいない!自分の人生は自分で決める!」と、気持ちを切り替えました。
ーーー 2社を経験したのちに心からいいと思うサービスに出会って広める側になり、30歳という節目を迎えて改めてマインドセット。まさにそれが岸さんの「考えるより行動」というモットーを表しているように思えます。
ーーー そんな岸さんは今現在、働く上でどんなやりがいを感じているのでしょうか?
岸:自分と未来は変えられるけど他人と過去は変えられない、という言葉を聞いたことがありますが、私は他人を変えることに携わっているんだ、それってすごいことだな!と改めて思います。
一定期間他社で経験を積んだ企業の方が、私から見ても「人ってこんなに変わるの?」と思うくらい変わったなと思うことがあって。
エッセンスでは研修の卒業生を集める交流会を開催しているんですけど、越境研修に参加する前は自分から発言することがなかったような方が、研修後に交流会の場でお会いした際に「自分の体験談を発表したいです!」って自ら言ってくれたり、他の方との交流の中でも明らかに発言量が増えたり。
企業同士のマッチングの間に入りながら認知も広めなくちゃいけないという状況は本当に大変なんですけど、変化を目の当たりにすると「いいことしてるな」と実感しますね。大変さも吹き飛ぶくらいに!
ーーー まさに今新しい仕事文化を作っている真っ只中!という感じでワクワクしますね。
ーーー では最後に、何かやりたいことがあるけど躊躇している人がいたらどんなアドバイスをしたいですか?
岸:アドバイスっていうとなんだか恐縮ですが、、(笑)
些細なことでもまず一歩を踏み出してみて欲しいです。そこで見えてくるものって絶対変わってくるから。
過去って絶対変えられないから、どうしよっかなって迷ってる時間がもったいない!
それにできない理由を並べるより、どうすればできるかを考えるほうが絶対に楽しいと思います。
もしやってみて失敗しても失敗だと思わなければいいし、ピンチになったら助けてくれる人も絶対いるはず!1人で悩まずに、行動してみて周りに相談したらいいんじゃないかな。そういう方が1人でも増えるといいですね。
取材後記
「自分の人生は自分で決める」とマインドセットをしたというお話の後に伺った、「でも私は人を変えることに携わっているんだ」というやりがい、、、シビれました。
その裏には、本心から会社や事業に心を引かれて、それを自ら広めたいというお気持ちがあって。働く幸せを生むのって、このように会社や事業を自分が本気で良いと思えているかなのではないでしょうか?
そして働く幸せを感じる場所も、これからは1社でずっと働くか転職するかという選択肢だけではなく、越境研修のように企業同士が交わることによって広がっていくのでしょう。
まさにエッセンスさんのミッションである「新しい仕事文化」が作られているのを感じたインタビューでした!岸さん、ありがとうございました!
企業HP
新しい働き方を応援するメディア「ハタラクミライ」
https://www.essence.ne.jp/hatarakumirai