自分らしく生きるには、本当の自分を理解すること。──才能分業コンサルタント・伊藤亜里沙

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written by ダシマス編集部

才能分業コンサルタントの伊藤亜里沙さんは、個人の能力を伸ばすことを目的とし、才能診断を用いた適材適所のコンサルティングやキャリア支援をされています。

自分らしい働き方をするために必要となる『自己理解』。では、本当の自分らしさとは何なのでしょうか?それを見つけるヒントや、理想のキャリアアップの仕方について、お話を伺いました。

伊藤 亜里沙(いとう ありさ)

伊藤 亜里沙(いとう ありさ)

才能分業コンサルタント。独立前は、下着メーカーでのブランドマネジメントや社員教育、美容関連サービス企業の社長補佐、外資系コンサルティング会社の役員秘書、医療・IT企業の人事などに従事。10社で様々な業種・職種・就業形態を経験。 現在は、個人のエンパワーメントを目的とし、法人の適材適所コンサルティング、個人のキャリアコンサルティング、クライアント企業の面談代行、コラムの執筆などを行っている。

生年月日を用いた『才能分業明細書』って何?

ー早速ですが、伊藤さんは現在どんなお仕事をされているのですか?

伊藤:『才能分業明細書』という、個人に向けたキャリアコンサルティングと法人に向けた適材適所コンサルティングをしています。得意分野を割り出しレポートにして提出するというサービスです。

レポートの作成には、生年月日を使った統計を用いています。生年月日から割り出せる複合的な型から、その人の得意なことや考え方の癖などを書き出します。

ー生年月日を用いるというのはおもしろいですね!

伊藤:学問分野なんですが半分占いのような気持ちでおもしろそうだから受けてみる、という経営者の方もいらっしゃいますね。

得意分野、得意環境、困難に直面した時の考え方・行動、仕事のスタンスや対人傾向など、9項目あげるので、それだけでレポート用紙5枚分くらいの文量になります。

それを元に、その人に合った働き方を見つけられるよう指針を出しています。

受けていただいた方からは、自分でも気づいていない自分の特性を知ることができた、などといった意見もあります。

また才能分業明細書とは別に、クライアント企業で働く社員のフォローアップ面談を含めたあらゆる面談の代行もしています。

10社以上の転職から見えた、本当の自分

ー伊藤さんが、コンサルティングのお仕事を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

伊藤:新卒時代から何か自分で仕事をしたいなとぼんやりと思っていましたが、具体的なものがなかったので、会社員という枠の中で自分のやりたいことを探していました。

何回か転職を経験し、自分のやりたい仕事を見つけてそれに就くことができても、社風やどんな人といっしょに働きたいかなど、仕事そのものだけではない、付随してくる部分がとても重要だということに気が付きました。

ー周囲の環境や働き方についても、自分に合う合わないはありますね。

伊藤:私の場合働き始めてしばらくすると、他の仕事と兼務になり、その仕事が自分に合わない、ということがよくありました。もっとひとりひとりが自分らしく働けるような仕事の任せ方があるのではないか、と感じていました。

また、これまで10社以上転職をしてきて「自分自身は何が得意なのか?」と考え、自分を研究するために、脳科学や心理学などの勉強をしました。自分の特性を割り出していくと、自分自身は独立するほうが向いているとわかりました。

そしてこの、人の特性を割り出すという技術を職業にしてみたい、と思ったのが起業をしたきっかけです。

幼少期を振り返り、自分の好き嫌いを知る

ー自分らしく働くために必要なのは、どんなことだと思われますか?

伊藤:自分の中での好き嫌いをはっきりさせることですね。

例えば、自分が独立志向なのか会社員志向なのか。時間や場所がきっちり決まっているほうが働きやすいのか。在宅のほうがパフォーマンスが上がるのか。などといったそもそもの自分の好き嫌いがわかってくると、自分に合った職種もわかってくると思います。

その好き嫌いを見つけるのに自分自身が遠回りをしたため、才能分業明細書が生まれました。才能分業明細書のメソッドを使って割り出すのが一番早いと私は思いますが、もし自分の力でそれを見つけるヒントがあるとすれば、小さい頃の自分を思い出すのが良いと思います。

私は小学生の頃バスケ部に入っていましたが、チーム競技では自分のパフォーマンスのどこが良くてどこが悪かったからその結果になったのかがわかりにくいので、個人競技のほうが合っていたんです。

ピアノも習っていましたが、好きな曲のときとそうでない曲のとき、出来にはいつもむらがありました。好きな曲でないと全然練習しなかったんですね。
そして、学校よりも、自分の能力に応じて進度が変わっていく習い事の方が好きでした。

このことから、私は実力主義の自己責任タイプで、みんなでいっしょに何かをするよりも独立するか自己裁量でできる仕事をするのが向いているとわかります。それと、夢中になってできる仕事を本気で探した方が良いですね。

本来の自分がどういう人間かを知るには、どういう子どもだったかを探すのが良いかなと思います。

キャリアアップは、しなくてはいけないものではない

ー理想のキャリアアップをしていくには、具体的に何をしていけば良いでしょうか。

伊藤:まず、そもそものところを考えてみると、キャリアアップってしなくてはいけないわけじゃないと思うんです。

日本人は特に上昇志向が強くて、上がっていかないと周囲に申し訳ない。年齢の分、何かを身につけていかないと…。と考えている人も多いですね。

私はキャリアアップをしたいので、自分を磨いていくのが好きですが、実際は、キャリアアップをしたくないと思っている人のほうが多いかもしれません。

変わりたくないのであれば、そういう自分をまずは認めてしまえばいいと思います。お給料はそんなに上がらなくても、好きなエリアに住んでゆっくり、自分のペースで働くことが楽しいなら、それもひとつの生き方です。

それに、マンガ家や歌手だったら好きなことを突き詰めてその仕事をずっとしているわけで、もちろん努力も技術力アップも常にしているでしょうけれど「キャリアアップ」っていう概念から少し外れますよね。

様々な事情とか会社の目標管理制度云々をひとまず横に置いて広い視野で考えてみると、働き方は何通りもあると思います。そもそも自分が何を求めているのかを探るのが大事ですね。

ー自分が本当は何を求めているのか、探る方法はありますか?

伊藤:私のように、何度失敗しても良いと考えるなら体験学習(転職)がおすすめです。

選択肢を知らないと選ぶことはできないので、ケーススタディをすることは大事です。今はインターンのようなかたちで経験を積むこともできます。でも、転職歴を増やしたくない人は、とにかく情報を得るために人に話を聞くのが良いと思います。

自分の興味に近いことをやっている人がいたら、「なぜそれをやっているか」、「どこにモチベーションがあるのか」を聞くのもの良いですね。

ー転職を“体験学習”と捉えるのは、おもしろいなと思います。

伊藤:私にとって転職は、プラスになることが多かったです。

いろんな会社やいろんな人の働き方を見たことで、効率的な仕事の仕方や、こういう人たちとはこう動くのが良い、ということをキャッチする力や適応力が身につきましたし、視野も広がりました。

もちろん、企業には転職歴が多いことをマイナスに捉える人事の方もいるので、デメリットもありますが、逆にそれでもいっしょに何かしたい、とオファーしてくれる人や会社もあります。

完璧じゃない自分を受け入れ、自分らしく生きる

ー伊藤さんが今後実現したいことはどんなことでしょうか?

伊藤:才能分業明細書を使っていただける機会を増やしていきたいですね。

あとは、自分の興味があることをやって、楽しく生きること。個人のエンパワーメントに軸を置いて、おもしろそうなことがあれば何でもやってみたいと思っています。

ー自分自身が楽しく生きるということは大切ですね。

伊藤:“自分らしく生きる”ためには、今ある環境を受け止めたり、楽しんだり、等身大の自分を受け入れたりするバランス感覚も同時に必要なのだと思います。

自分らしく生きることをストイックに求めすぎると、たぶん苦しくなります。

誰もが完璧じゃない人生を、完璧じゃない自分のままで生きていくんだと思うんです。

だからこそ、その方の本質的な傾向や好き嫌いを、最短経路で見つけるためのツールとして、才能分業明細書を生み出しました。

自分らしく生きている人は、自分が人生において大切にしたいものが何かを知っている人、そしてその優先順位づけが明確で、捨てるべきものを捨てた人なんだと思います。

そういう人は、いつも穏やかで楽しそうで、いくつになっても輝いています。これからもそういった人を増やすことができれば、という想いで今後も活動していきます。

 

▼『才能分業明細書』についてはこちらから!
http://www.capire.jp/saino-individual

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